今週のワールドツアーレース振り返り 2022/4/10

レース情報

カンパニョーロ使用チームの活躍を振り返ります。

今週はスペインにて イツリア・バスク・カントリー(2022/4/4~4/9)が開催されました。
そして本日、アムステル・ゴールドレース(2022/4/10)が開催予定です。
アムステル・ゴールドレースは次回の記事にて振り返りをしたいと思います。

イツリア・バスク・カントリー

イツリア・バスク・カントリーはスペインのバスク地方で開催される1週間のステージレースです。
バスク地方は実力のある自転車選手を輩出していることで有名で、かつてツール・ド・フランスを5連覇したミゲル・インデゥラインもこのバスク地方出身です。
現役選手では、現ロードスペインチャンピオンのオマール・フライレ(イネオス・グラナディアーズ)や現個人TTスペインチャンピオンのヨン・イサギレ(コフィディス)もバスク出身選手であり、自転車文化が盛んな地域であります。

このステージレースの特徴はバスク地方特有の山岳ステージという点です。補足しておきますとバスク地方は実際にはフランスとスペインの境に7領域あり、フランス3領域及びスペイン4領域ということになっています。ピレネー山脈2000m級の山々が連なっており山岳に強い選手が輩出されております。

第1ステージは7.5kmの個人タイムトライアルです。平坦路を駆け抜けたのちに、山側へ平均勾配9%の坂を駆け上がる癖の強いコースレイアウトです。しかも坂が石畳というおまけ付きです。
レースはアダム・イェーツ(イネオス・グラナディアーズ)やゲラント・トーマス(イネオス・グラナディアーズ)が好タイムを出す中、フランスのTTスペシャリストのレミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)が好走します。

総合勢のなかで注目のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)は個人TTが得意でカヴァニャを11秒も上回ります。しかしこのエヴェネプールを更に上回ったのは東京五輪個人TT金メダリストのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)でした。エヴェネプールを5秒上回る絶好調の走り見事な勝利!総合優勝に向け弾みをつけました。

GCN

第2ステージは、207.9kmの長丁場ステージです。途中に3級、2級山岳を越え上りフィニッシュというコースレイアウトです。カテゴリー山岳が少ないにも関わらず獲得標高は3000mを越えます。

スペインのコンチネンタルチーム4名が逃げに乗る展開に。メイン集団は総合トップのユンボ・ヴィスマがコントロールを行い、クイックステップ・アルファヴィニルも協力してレースを主導します。残り15kmを残した地点で逃げとメイン集団のタイム差が2分あり、逃げ切りもあるかと思われましたがゴールを間近に協調がとれずメイン集団が猛烈に追い上げをみせます。

残念ながらラスト400mで吸収された逃げですが、メイン集団はクイックステップがもの凄いペースでゴールへ向かいます。エヴェネプールがけん引する集団から世界王者のジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル)がスプリントを開始し、これには他チームの誰も対抗できません。完璧な連携を見せたクイックステップは見事にアラフィリップを勝利に導きました。

GCN

第3ステージは、後半に3級と2級山岳を含むレイアウトを周回する181.7kmのコース設定です。この2つのカテゴリー山脈は最大18%を含む厳しい山岳です。

この日はヤン・ポランツ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)とクリスティアン・ロドリゲス(スペイン、トタルエネルジー)の2名が逃げに乗りますが、2度目の2級山岳でポランツが単独逃げになり山岳ジャージを確定させます。

メイン集団は残り25km地点の2級山岳でアダム・イェーツがアタックを仕掛けます。急勾配区間のこの動きでメイン集団は総合有力勢に絞られます。残り約6km地点にあるカテゴリーの無い登坂に入るとペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)がペースを上げます。バスク出身のビルバオはこの後も追いつかれてはアタックを繰り返す粘りの走りをみせます。

勝負は有力勢によるスプリント勝負に持ち込まれます。前日に凄まじい引きを見せたエヴェネプールからアラフィリップがこの日も絶好の位置からスプリントを開始します。得意の上り勾配でのスプリントでアラフィリップが2日連続の勝利かと思われましたが、この日再三の仕掛けを見せたビルバオがアラフィリップの後ろから執念のスプリントを見せアラフィリップを差し切りました!最後まで勝負が分からない熱い展開でした!

GCN

第4ステージは、185.6kmのなかに3級山岳2つと2級山岳2つが詰め込まれた獲得標高約2900mのステージです。バスクではこの獲得標高でも丘陵ステージというカテゴリーに分類されるのが恐ろしいところです。

この日はゲラント・トーマスやダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、オスカル・ロドリゲス(スペイン、モビスター)といった実力のあるトップ選手13名が逃げに乗ります。
残り30km地点で9名まで絞られた逃げから、最後の山岳急勾配区間でヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス)がペースを上げます。

メイン集団からはラフェがアタックした区間を終えた時点でアラフィリップがアタックを仕掛けます。この動きは一度吸収されてしまいます。途中の下り区間でピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)が落車するシーンもあり完走はするもののこのステージでリタイアとなります。残り7km地点でラフェはメイン集団と1分差あり逃げ切りの可能性も出てきました。

メイン集団はディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)でスプリント勝利を狙うUAEチームエミレーツがけん引します。残り1kmでラフェが捕まると3日間連続でエヴェネプールが高速けん引を行います。しかし最後のコーナーで先頭に出たダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が力強いスプリントを見せ見事に勝利しました!アラフィリップはこれで2日連続の2位となりました。

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第5ステージは、163.8kmの距離にもかかわらず獲得標高3567mという本格山岳ステージです。3級山岳3つと2級山岳2つ、更にゴール前500mは最大勾配16%の激坂設定となっています。

アップダウンしかないコースレイアウトにつき逃げ切りの可能性も高いこのステージは、序盤に激しい逃げ切り合戦が行われました。最終的にマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)とルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)、カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)、ケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)などの強力なメンバーで構成されました。

残り65km地点で逃げにいたハミルトンが下り区間でコーナーを曲がり切れずガードレールの外へ落車するシーンもありましたが、幸い大事には至らなかったようです。逃げ切りを狙いたいソレルとメイン集団にいるチームメイトのマルティネスを守りたいロドリゲスは思惑がかみ合わず、ひたすらにソレルがロドリゲスを引く展開に。

残り16kmの2級山岳でエヴェネプールがアタックを仕掛けます。これに総合トップのログリッチが遅れを取ります。他の有力勢はここで抜け出す中ユンボ・ヴィスマは厳しい状況になります。残り14km地点でそれまで後ろで足を温存していたロドリゲスがソレルを引き離しにかかります。この動きにソレルはついて行くことが出来ません。

残り9km地点でエヴェネプールグループはログリッチグループから30秒以上のリードを奪っています。そして最後の16%の激坂区間で後輪をスリップさせながらもロドリゲスが後ろから7秒差で逃げ切り勝利!ロドリゲスはこれが嬉しいプロ初勝利だそうです。
後ろの総合勢はマルティネスが先着しエヴェネプールが3位に入りました。ログリッチが遅れたため総合トップはエヴェネプールになりましたが、2位のマルティネスとの差はわずか2秒と次の最終ステージまで分からない展開となっています。

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最終第6ステージは、3つの1級山岳が設定された135.7kmのクイーンステージです。獲得標高は3636mにもおよびコース距離が短いとあって、遅れた選手は足切り時間も気にしなければならないタフなステージです。

序盤の逃げ合戦の末、最終的な逃げはフォルモロとネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)、トニー・ガロパン(フランス、トレック・セガフレード)に絞られます。メイン集団は長時間に渡りゲラント・トーマスがアシストに徹していました。

レースは残り44kmの1級山岳で動きが出ました。逃げ集団からフォルモロがペースアップを図りこの動きにオリヴィエラが遅れていきます。メイン集団はログリッチがペースをあげ集団を引き延ばしにかかります。しかし急勾配区間になるとエンリク・マス(スペイン、モビスター)やマルティネスらが更にペースをあげたことで、逆にログリッチやエヴェネプールは遅れていく展開になります。

先頭のフォルモロにはビルバオやアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)、ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)といった面々が合流し最後の1級山岳に突入します。上り口でフォルモロが飛び出すと一時は後続まで50秒まで差を開くことに成功します。しかし地元バスクで勝利が欲しいイサギレがペースを上げると再びエヴェネプールが遅れていきます。

ここで頂上前まで1.5kmの地点でイサギレがヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)の後輪に触れて痛恨の落車!上りでの落車ということで怪我はなく再スタートを果たします。これによりステージ優勝争いからは脱落したかに思えましたが、地元からの大声援をうけ懸命に前を追いかけ、なんと頂上付近で追いつくことに成功します!

最後は残った5名によるスプリント勝負に持ち込まれ、ウラソフとイサギレのスプリント勝負となります。早掛けしたイサギレに追いすがるウラソフですが、猛追を振り切りヨン・イサギレが見事地元バスクで勝利!総合でも2位までジャンプアップし、総合優勝は最後の5名に残ったダニエル・マルティネスが手中に収めました!

CorVos

そしてヨン・イサギレの勝利によりカンパニョーロチームはまたしても勝利数を伸ばしました!
これにより今季ワールドツアーレースでカンパニョーロはWT通算12勝目となりました!

GCN

今後のワールドツアーレース予定

『クラシックの女王』こと パリ~ルーベ(2022/4/17)が開催されます。
昨年覇者のソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が欠場なのは残念です。
しかし盛り上がること間違いなしのレースですので週末が楽しみです!

今後もレースを楽しみつつカンパニョーロコンポーネントの使用チームを応援していきます!

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