ツール・ド・フランス2023が閉幕。カンパニョーロ使用チームの活躍は?

レース情報

2023/7/1~7/23の日程でツール・ド・フランス2023が開催されました。
個人総合はヨナス・ウィンゲゴーが優勝、ライバルのタディ・ポガチャルは準優勝という結果でした。
今年はタイムトライアルが全長22.4kmの1ステージしかなく、いわゆるクライマー向き。そんな今年のツールでのカンパニョーロ使用チームの活躍を見ていきましょう。

カンパニョーロ使用チーム

まずは出場チームを見ていきます。

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出場チームはワールドツアーチーム18、プロチームが4の全22チームが参加しました。この中でカンパニョーロ使用チームはAG2R Citroen Teamの1チームのみです。
今年はカンパニョーロコンポーネントを使用するチームが、昨年の3チームから1チームへ減ってしまったため、コース数と使用チーム数を考えますと1~2勝できればというところでしょうか。ひと昔前に比べるとカンパニョーロ使用チームは減ってしまいましたね。ファンとしては悲しい限りです。

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マイヨジョーヌ争いはヨナス・ウィンゲゴー(デンマーク)とタディ・ポガチャル(スロベニア)の2人で拮抗しており、他の選手とは次元が違う争いをしていました。チーム力で勝るウィンゲゴーと今年加入のアダム・イェーツ(イギリス)のスーパーアシストが光るポガチャルとの勝負は2周目を終えても10秒差という、実力はほぼ互角の争いでした。

第16ステージ 個人TT 22.4km

勝負の3週目に入り今大会唯一の個人タイムトライアルで勝負が始まります。ウィンゲゴーとポガチャルはそれぞれ最後と最後から2番目の出走です。2人が走り始めるまでのトップタイムはワウト・ファンアールト(ベルギー)で流石の実力を遺憾なく発揮していました。

そしてまずはポガチャルの出番がきました。出走して第1計測でも悪くないタイムを出しておりこれはウィンゲゴーとほぼ同じタイムでゴールするかとこの時は思っていました。今回のタイムトライアルは終盤にヒルクライムポイントがあり斜度がそこまできつくない無いレイアウトだったため、タイムトライアルバイクのままで上るか、ノーマルバイクに乗り換えていくか各チームの作戦が如実に表れる絶妙なコース設定でした。

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ポガチャルは上りの麓でノーマルバイクに乗り換える作戦を取りました。2020年のツールもこの方法で最後に逆転勝利を収めていますし上りに自信があるポガチャルらしい作戦だと思いました。しかしタイムはまずまず良いとは言え、見ていると明らかに調子がいまいちそうで終始シッティングでキツイ表情を浮かべながらレースをこなしている様子が印象的でした。そんな状態でもワウトのタイムを大幅に上回りトップタイムを記録しているのですから流石としか言いようがありません。

そして最終走者のウィンゲゴーがスタートします。まずスタートして感じたのはウィンゲゴーは最初から攻めてきていると感じたことです。最初の1漕ぎ目から力強く踏み込んでいましたし、下りや平坦のコーナーも見ていて手に汗握るくらいギリギリ目一杯を走っていました。時折画面に表示されるスピードメータも明らかにウィンゲゴーの方が早く走れている様子でした。

そして勝負の上り区間でウィンゲゴーはタイムトライアルバイクのままで上っていきます。足の回しや体の様子をみても明らかにウィンゲゴーは調子が良さそうで、平坦で既に20秒程度ついていた差がみるみるうちに更に拡大していきました。上りを終えた箇所にある途中計測ポイントで既にポガチャルとはかなりの差が記録されており、ゴールした際にはポガチャルと1分30秒以上の大差をつけて圧倒的勝利を飾りました。

出走前は僅差での勝負だと思っていましたが、ここまでウィンゲゴーが圧勝するとは想像もつきませんでした。平坦や下りでの攻めた姿勢、上りでの驚異的なタイム、どれを取ってもマイヨジョーヌに相応しい走りでした。ただただ凄かった。ウィンゲゴーおめでとう!

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第17ステージ 超級山岳コース(クイーンステージ) 165.7km

個人タイムトライアルから休む間もなく超級山岳コースが待ち構えています。
最後の超級山岳ロズ峠は全長28.1km/平均勾配6%は前半は大人しいものの、一度下り区間を挟んでからの後半は最大24%もの斜度が登場する超級に相応しい山岳コースです。

レースは逃げグループに入った山岳賞を切るジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が次々に山岳ポイントを稼いでいきます。逃げグループはメイン集団と一度合流した後に再び30名程度の大きな手段を形成します。その中でもチッコーネは順調に山岳ポイントを稼ぎ山岳賞マイヨアポワのリードを広げることに成功します。

そして勝負は最後の超級ロズ峠へと入ります。逃げグループからは遂にAG2Rシトロエンのフェニックス・ガル(オーストリア)とベン・オコーナー(オーストラリア)が2人で勝負に出ます。元々総合エースを担っていたオコーナーが既に遅れており、調子のよいガルでステージ勝利を狙うべくの動きでありました。頂上まで残り約6kmの地点でガルがアタックするとサイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー)やラファル・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)が追いますがなかなか差が縮まりません。

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20秒程度のリードでロズ峠をガルがこなす頃、メイン集団ではポガチャルが脱落し力なくウィンゲゴーから遅れていきました。調子が悪いのは明らかで対照的にウィンゲゴーはこの日も調子良くロズ峠を上ぼっていきます。更に逃げグループから次々にユンボ・ヴィスマのアシスト達が降りてきて前を引いてくれるため、ポガチャルとのタイム差はあっと言う間に開いていきます。

マイヨジョーヌ争いに大きな差が付きそうな頃、ロズ峠をこなし最後の飛行場への最大18%もある激坂へのゴールへガルは真っ直ぐに突き進みます。追いすがるサイモン・イェーツを振り切り最後までスピードの落ちなかったガルが嬉しい自身初のツール・ド・フランスでの勝利!とカンパニョーロ使用チームに貴重な1勝をもたらしました!

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ツール初出場で初勝利、更に総合でもジャンプアップに成功したガルの走りは素晴らしいものでした。このままカンパニョーロ使用チームの勝利なくツールが終わってしまうのかと危惧していたところでの勝利は素晴らしく、チームとしても貴重な1勝を獲得しました。

総合ではウィンゲゴーがポガチャルに対してこのステージだけで5分近い差がつき、最終的なタイム差は7分30秒近くまで開きました。ここから普通に逆転するのはほぼ不可能に近くウィンゲゴーが落車やコロナでレースを去らない限りマイヨジョーヌは決定的となりました。

まとめ

そんなポガチャルは第20ステージでウィンゲゴーとスプリント勝負を繰り広げ、最後はステージ勝利を飾るなど底知れないポテンシャルを見せつけて、マイヨジョーヌはウィンゲゴーが獲得し2023年のツールは幕を閉じました。例年以上にウィンゲゴーとポガチャルの次元の違う戦いが面白く、最後まで美しいドラマが多数見られたツール・ド・フランス2023でした。今年はこの後8月の世界選手権からブエルタ・ア・エスパーニャまでレースが盛り沢山なのでまだまだ熱いロードレースシーズンは続きます!!

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